真空の聲、静謐の旋律

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   β:初夜12

 唇を貪り合いながら、お互いに探るように肌を触れ合わせていく。がくぽの大きな手はミクの首から胸を、肩から背中を、腰に絡みついた白く細い脚をなで、ミクの細い指は藤色の髪をなで、広く大きな背中に手を回してしがみついた。
 濡れた吐息を絡ませ合いながらお互いの瞳をのぞき込む。潤んだ瞳にお互いだけを映して切なげに見つめ合う。
「……、がくぽ……」
「もっと呼んでくれ。お前がいつもそうしてくれるように」
「気づいて……た?」
「とっくに」
 驚いた顔をしたミクを見て、がくぽがニヤリと笑う。
 がくぽがその名で生きた時代は二百年前に過ぎ去ってしまった。もうこの時代に彼の本名を知る者はミク以外にいない。
 この時代に生きるための仮の名を、ミクは極力呼ばないようにしていた。家にいるときは常に彼の本名を呼ぶ。何故なら  その名で彼を呼ぶ者はミク以外にいないからだ。この家にいるときくらい、マリイという名の吟遊詩人を演じることなく、真実の彼でいて欲しかった。
「がくぽ……」
「その名前すらお前だけのものだ。もうお前以外の誰も知らない……」
「がくぽ」
「ミク……俺のすべてはお前のものだ。心も身体も名前さえ……」
「……がくぽ」
「俺のすべてをお前に捧げる。……受け取ってくれ」
「……、うん……!」
 両腕で強く抱き寄せて唇を重ね合った。ミクの細い脚が誘うようにがくぽの腰を抱き寄せる。甘い蜜に吸い寄せられる虫のように  がくぽは誘惑されるがままにミクを求めた。
「ミク……」
「ん……、あ、あ……、いっ……」
 喉から出かかった悲鳴をかみ殺してミクが歯を食いしばる。
(どうして? 昨日ちゃんとできたのに、まだ痛いの!?)
 昨晩と一昨夜の痛みはまだ鮮明にミクの身体に刻みつけられている。がくぽを求めるミクの心と裏腹に、身体は怯えて拒絶する。開きかけていたはずの身体は固く閉ざされ、脚ががちがちに強ばっている。
「ミク」
「違うの、なんで……? 私、わたし……」
「無理しなくていい」
「無理じゃないよ、だって昨日ちゃんとできたじゃない……。なのに、なんで? どうして? 私、ちゃんとがくぽを欲しいって思ってるのに……、どうして……」
 泣きそうになりながらも必死に涙を堪えてミクががくぽにすがりつく。
「やだ、やめないで……。私は受け入れたいのに……、なんでこんなに……。がくぽとひとつになりたいよ……」
 時折鼻を啜りながらも決して涙をこぼすことなく震える声で訴えた。がくぽはただ静かに聞き届け、ミクの頬を優しくなでた。
「落ち着け。呼吸を整えろ」
 頬をなでた手が首筋を通って胸の中央で止まる。
「歌うときと同じだ。腹で呼吸しろ。ゆっくり……、そう……、胸が動かないように……、吸って……吐いて……」
 がくぽの言葉に従って腹式呼吸をする。大きな温かい手が凍える胸を暖めて、ミクを少しずつ落ち着かせていく。
「落ち着いて……、そのまま……。そう、ゆっくり……」
 胸に触れていた手が腹部に下りて呼吸を確かめる。ミクはその手の温もりに身体が緩んでいくのを感じながら、がくぽの言葉に従って静かに呼吸を整えていく。
「ゆっくり……そのままで……」
 腹部からミクの細い脚へと伝った手が、なだめるように優しくなでた。何度も何度も、昨晩もそうしたように。
「ミク……少しは落ち着いたな。答えなくていい、聞いていてくれ」
 ゆっくりと呼吸をしながらミクは黙って頷いた。なでられながら、がくぽを捉えていた脚が緩んでいく。
「お前は今の状態を俺に迷惑をかけていると思っているだろう。そんなことは思わなくていい。俺は迷惑などと思っていない。むしろ愛しく思う」
 口を開きかけたミクに首を緩く横に振ってがくぽが続ける。
「それが何故なのか解らないからすれ違うんだ。お前が俺に迷惑をかけていると思っているこの状況は、俺がお前にとって初めての男だということを何よりも雄弁に物語っている。愛する女の初めての男が自分であるということが、どれほど男にとって嬉しいことか考えたことがあるか?」
 驚いたように見つめるミクに、
「酒場でよく『男は女の最初の男になりたがり、女は男の最後の女になりたがる』なんて言うがな。俺はミクにとって最初の男になれて光栄だと思っている。勝手な話だが、できればそのまま最後の男でありたいと願っている。まあそれは置いておくとして  だからお前が迷惑をかけていると思っているすべてのことは、俺にとっては迷惑ではない。愛しいんだ、何もかもが」
 優しく微笑んだ。
「もっと言うなら、お前はいつも俺に迷惑をかけまいとしているだろう。何でも自分でなんとかしようという心がけは立派だが、それは少々寂しい。俺たちは恋人同士だ。もっと甘えてくれていいし、もっと……頼ってほしい。わがままも言えばいい。なんでも黙って自分の心の中に閉じこめてしまわないで、俺に打ち明けて欲しい」
 驚いた顔のままで見上げてくる蒼い瞳に微笑んで、同じ色の髪をなでた。
「俺はお前に求められたいと言った。それはわがままだという自覚はあるし、甘えているという自覚もある。それに……、……。  ミクを愛しているし、本当に大切にしたいと思っている。泣かせたい訳じゃない。笑っていて欲しいと心から願っている。だが  たとえ泣かせることになってもミクが欲しいと思っているのも……本心だ。俺はお前に征服されたい。だが同時に征服してしまいたいとも思っている。矛盾しているがどちらも偽りない俺の気持ちだ」
 ミクの右手をとって口づけた。物語の中の騎士が姫君にそうするように。
 呼吸を整え、黙ってがくぽの言葉を聞いていたミクだったが、口づけられた手でがくぽの大きな手を掴まえてそっと指先を絡ませる。まっすぐに藤色の瞳を見つめ、小さく頷くのを確認してから、
「……じゃあ、私も打ち明けるね」
 揺らめく灯りの中で微笑んだ。
「ちゃんとできなくて迷惑かけちゃってるって思ってるのは本当。でも、それ以上にちゃんと……、ちゃんと? っていうの? 私ががくぽを受け入れたいって思ってるの。がくぽが好きなの。誰よりも近くにいたいの。だから、泣いても  がくぽを困らせることがわかってても、あなたが欲しいの。本当言うとちょっと無理してるっていうか……背伸びしてるところもあるんだけど、でも、それ以上に好きな人とは結ばれていたいから……。痛くても辛くても、女だもん。好きな人は受け入れたいし、えーと……気持ちよくさせてあげられたら、嬉しいし……。なに? なんだろ、何て言えばいいのかな……」
 眉間にしわを寄せて考え込むミクを見守りながら、がくぽは静かに次の言葉を待つ。
「今はまだちょっと怖いし、不安だし、どうしたらいいかわからないことばっかりで困らせちゃうのも解ってるんだけど、でもやっぱり  うん。そう。やっぱりがくぽが欲しいです。私が求めてるのも本当だけど、女だから受け身なのかな。求められたい。あと……あ、でも……」
 言いかけて口をもごもごさせるのを見て、がくぽが繋いだ手にそっと力を込める。優しい温もりに触れてそれでもしばらく言い淀んでいたが、ミクが聞こえるかどうかという声でぼそりと呟いた。
「……その。優しくして欲しいのは本当だけど……、え、と……。……、がくぽに無理矢理奪われたいって思ってるのも……本当で……。なんか言ってることがムチャクチャなのも、わがままなのも、解ってるけど、そのぅ……」
 潤みきった瞳から涙がこぼれ落ちないのが不思議なくらいだった。揺らめく灯りに照らされてきらきらと輝く蒼い瞳が困り果て、すがりつくようにがくぽを見つめて心までがんじがらめに捉えてしまう。
「……ミク」
「ぅ……」
 薄暗い部屋の中でも解るほどに顔を真っ赤にしてミクが小さく呻いた。恨めしそうに藤色の瞳を睨みつけて、
「だから……、その、ちゃんと……奥まで、来て下さい……」
 繋いだままの手を引き寄せて、がくぽの指先に口づけた。
 ちゅ、と指先を軽く吸われて小さくため息をもらしたがくぽは、指先をくわえたまま上目遣いに見つめてくるミクの頬をなでた。なでられてうっとりとしたミクががくぽの指先を解放すれば、大きな両手が頬を包み込む。
「……好きだ。好きで好きでたまらない」
「私も、大好き」
「ミク」
「がくぽ……」
 包み込むように唇を重ねながら、お互いを求め合った。
 まだ少女の恥じらいを残すミクの身体は抵抗を示し、重ね合う唇の隙間から時折苦しげな吐息が漏れる。その度にがくぽはミクをなだめるように白い肌を優しくなでて、彼女の女を誘うように舌を絡めた。
「ん……、ふ……あ、……」
 歯を食いしばることも悲鳴を上げることも許さないかのように激しく唇を求めてくるくせに、がくぽの身体は焦れったいほどに時間をかけてミクの身体を押し開いていく。拒む身体をなだめながら、許しを乞いながら静かに  だが確実にその奥の蜜を求めている。
「んん、ん……っ」
 昨晩ほどききれなかった茨を引きちぎられて、ミクが痛みに顔を歪めた。それでもがくぽは解放するどころか息をする間もないほどに激しく唇を貪り続ける。
 追いつめられる。そんな感覚がミクを支配する。
 激しく乱暴なまでに女を求められながら、どこまでも優しくいたわるように愛される。
 相反する行為がミクを混乱させ、焦燥感を駆り立てる。感情は騒ぎ立てる方に引きずられ、甘く穏やかな優しさが物足りなさにすり替わっていく。
「ん、は……っ、あぁ……」
 唇を解放されてミクが大きく息を吸い込んだ。吐く息とともに甘い声がもれる。
「あ……、がくぽ……」
「ミク」
「もっと……、」
 潤んだ瞳で見つめながら、ミクの細い指先ががくぽの頬をひっかくようになぞる。
「……もっと?」
「奥まで……」
「ミク」
「あなたのすべてを、教えて」
「……、ミク」
 それ以上言葉が出てこなかった。胸の奥が熱くなる。どうにもならないほどに愛しく募る想いを言葉にする術を知らなかった。ただ愛する人の名を何度も囁きながら、逸る気持ちを抑えて彼女の中の女を探り、求める。
 自分の中の男が狂ったように猛るのを感じながら、がくぽは昨晩と同じ轍を踏まないように必死に自分を押さえつけた。あれほどミクに呼吸を整えろと言ったくせに、ほんの少し気を抜いたら激しく息が乱れてしまいそうなほど  心と身体が葛藤している。
「ミク。欲しい、お前が……、何より……」
 言葉をうまく紡ぐことができない。
「全部あげる、から……。がくぽ……」
 痛みに耐えながら切なげに見上げてくる蒼い瞳が満天の星空のように輝いていた。
「愛してる……」
 ふたりの声が重なった。
 心も、身体も  何もかも。
 求め合い解け合って、もつれ合い絡み合う。
「あ……、あ」
「……、ああ」
「あのね、がくぽ。聞いて」
「ああ」
「嬉しい……」
 痛みが残るのか、かすかに苦しそうな表情をしながらも  ミクが穏やかに微笑んだ。
「ああ……俺も嬉しい」
 抱きしめて、優しくなでた。お互いに、何度も何度も。頬と頬を合わせて甘い吐息で耳元をくすぐる。
「どうしよう。がくぽ、大好き」
「……そうか」
「え……なに? 私変なこと言った?」
 小さく笑ったがくぽにミクが唇を尖らせる。
「いや……。自分でもおかしなことを考えるものだなと……」
「ん……? なに?」
「今こうしてミクを抱いているのに  抱きたいと思った。何だろうな、この感覚」
 がくぽが自嘲すれば、ミクが嬉しそうに顔を輝かせた。
「あー! わかる! 私もあるよ、そういうの」
 予想外の反応に驚いたがくぽをよそに、ミクは構わずに続ける。
「勉強が終わった後、がくぽが二階に上がっちゃうじゃない? そういうときね、いつも会いたいなあって思うの。それまでずっと一緒にいたし、同じ家の中にいるのにね。顔が見えなくなると会いたいって思っちゃうの。そういうの、がくぽも感じるんだね。ちょっと嬉しい」
 えへへと照れくさそうに笑うミクに  ちょっとどころではない嬉しさを、どう伝えたら彼女に届くのだろう。
 がくぽがミクへの想いに迷いを抱いていた間も、ミクはまっすぐにがくぽを想ってくれていた。その事実がどれほど彼の胸を熱くさせるか、ミクは理解していない。
「……ふぇ? なに? どうしたの?」
 唐突に熱い口づけを受けて戸惑うミクの両腕を自分の首にしがみつかせて、がくぽはミクを強く抱きしめた。
「しっかりつかまってろ」
「え? な……きゃああ!?」
 突然抱き起こされたかと思えば一瞬身体が浮かび上がり、ミクが悲鳴を上げてがくぽにしがみつく。
「きゃ、あ、あ……っ!」
 一瞬浮いた身体が反動で沈み込み、身体の奥深くに衝撃を受けてミクが悲鳴に濡れた吐息を絡ませる。
「大丈夫か」
「や、あ……なに? え、今何が起きたの?」
 ほんの数秒にも満たない間に、どう体勢を変えたのかがくぽはベッドの上であぐらをかき、ミクはがくぽと向かい合う形でその上に座っていた。
「こうすると目線の高さが同じになるな」
 間近で藤色の瞳に見つめられ、急速にミクの頬が朱色に染まる。この数日、至近距離で見つめ合うことは何度もあったのに  同じ目線の高さというだけで、ひどくくすぐったく感じられる。
「あ……、うん、そうだね……」
 照れくささで顔から火を噴きそうになりながらも、ミクは藤色の瞳に映る自分の姿を見た。
「がくぽの目の中に私がいる……」
「ミクの目の中に俺がいる」
「私しか映ってないね」
「俺しか映ってない」
「ねえ」
「うん?」
「こういう気持ち、どう言えばいいの?」
「……『愛してる』、だ」
「……、うん。愛してる。がくぽ。愛してる……」
「……ミク、愛してる……」
 どちらからともなく唇を求め合い、抱きしめた。先ほどの窒息しそうな口づけが嘘のように優しく穏やかな口づけは、ミクの心の奥から温め、甘くとろけさせた。絡み合う舌が、濡れた吐息が、触れ合う肌が  重なり合うところから心も一緒にとけていく。
「がくぽ」
「うん?」
「おいしい?」
「……?」
「私、おいしい? 食べ甲斐がある?」
「ああ、それは……」
 言いかけたがくぽが言葉を途切れさせる。
「どうしたの?」
「どちらかと言うと、俺がミクに食べられてるんじゃないか?」
 一瞬きょとんとしたミクが、ふと視線を落とした。藤色の瞳から鼻筋を通って唇へ  唇から顎、首筋をたどり鎖骨を通り過ぎて胸板へ  そこからさらに下って腹部へ。
(食べ、あ、え?)
 奥深くまで求め合って絡み合って、繋ぎ合わされたものは、何?
(ちょ……え? あれ!? どっちがどっちを食べるんだっけ!?)
「え、あの、あれ? 何だっけ? がくぽがお腹空かせてて、私がご馳走で、あれ?」
 とっくに心も身体も感じているくせに、目の当たりにしてミクの思考力は抜け落ちて混乱してしまった。恥ずかしさと動揺とでミクの頬がこれ以上にないくらい紅潮している。
「あ……、あれ? なんか……よくわかんない……?」
「ミク。取り込み中悪いんだが」
「う……、何?」
「そんなに激しく咀嚼されると辛い」
「そしゃく?」
「……『もぐもぐする』と言った方が解りやすいか?」
「も……、……っ!!」
 がくぽが真面目くさった表情でそんな表現を用いること自体がひどく意外でかわいかったが、改めて状況を把握したミクが泣きそうになりながら言葉を失う。
「いやあ……。もう……、ばかぁ……」
 ミクが両手で顔を覆った。甘えるような声ががくぽの心をくすぐる。
「……泣きながらやめてくれと懇願されればやめないこともない」
 耳元で意地悪そうに囁く声に、ミクが指の隙間から楽しげな藤色の瞳を睨みつける。
「泣かないもん。そういう意地悪言うともっともぐもぐするんだから」
「……、あんまり俺を追いつめないでくれ。もう少し会話を楽しみたい」
 がくぽが苦笑した。
 しばらくお互いの瞳に映る自分の姿を見つめていたが、先に静寂を破ったのはミクの方だった。
「……どんな感じなの?」
「うん?」
「その……中にいる感じ?」
「どんな……と言われても……」
 言いかけてしばらく思案したがくぽは、おもむろにミクの右手を掴まえた。
「あ……っ」
 ミクの親指を口に含んで、がくぽがちゅぅと音を立てて吸い上げる。
 指先に温かい舌が絡みついてくる。ゆっくりと味わうようにミクの親指を舐め上げて、最後に指先をちろりと舐めてから名残惜しそうに解放する。
「……こんな感じだ」
 唾液に濡れた親指が自分の身体の一部なのに自分のものではないひどく淫靡なものに感じられ  ミクはただでさえ赤い顔がさらに赤くなるのを感じた。
「あ……、」
 何か言おうとしても何を言えばいいのか解らない。混乱と動揺の果てに、ミクはただすがりつくようにがくぽを見つめた。
「だから……全部伝わる」
「……え?」
「俺の口の中の動きが解っただろう。それと同じだ。ミクの中の動きは全部俺に伝わる」
 何を言われているのか咄嗟に理解できなかったミクは、がくぽの言葉を数度頭の中で反芻する。
「え……、え!?」
「さっきも言ったが、そんなに追いつめられると……」
「や、あ、あー! やあああっ! もう、がくぽのばかああああっ!!」
「理不尽だ」
「だって、だって、だって! あ、や、え!? なんで!?」
「何でと言われても困る」
「だって、そんなの、え!? 私がすごいいやらしい子みたいじゃない!」
「昨日も言ったが俺の前でだけいやらしくなってくれれば問題ない」
「そういう問題じゃないー! だってそんなの、私のせいじゃないもん! 身体が勝手に……!」
「ほう。身体の方が正直だな。もっと心も素直になって俺をねだったらどうだ」
「それはさっきから欲しいって言ってるでしょ!?」
「ああ、そうだったな。どうせなら昨晩みたいに妖艶にねだられたい」
「だ、だってあれは……副作用で……」
 泣きそうになりながら必死に訴えるミクの唇を自分の唇で封じ込んで、
「身体に直接訊いた方が話が早そうだ」
 がくぽがニヤリと笑った。
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