-太陽は沈まない-

■後書■

 多分これが「風になる刻」番外編・最終回になります。今後書くかもしれませんが、時系列ではこれが最後になると思います。

 神沢にとっての運命の人は、まず第一に姉でした。そして飛鳥。かつて月に怯えていた神沢は、月に姉を、太陽に飛鳥を見ていたのかもしれません。孤独という闇の中でひとつだけあった輝きは、神沢にとって唯一のすがれるものであり、同時に罪を苛む恐ろしいものでした。その孤独の闇を打ち祓い、月とまた深く関わる太陽は神沢にとっては飛鳥だったのではないでしょうか。そんなつもりで「紅い月が満ちるように」を書いた訳ではありませんでしたが、なんとなく、本作を思いついたときに神沢がそう言っているような気がしたのです。
 太陽とは永遠の象徴でもあります。太陽との絆が永遠であることを願うように、彼らがこれからもずっと、穏やかでしあわせな日々を過ごしていけたらな、と願うばかりです。

 沈まない、なんてタイトルに謳ってますが太陽は沈みます。でもまだ朝が来れば太陽は昇るし、どんなに雨が降ったって、どんなに厚い雲が遮ったって、その向こうには必ず太陽が輝いています。
 どんなときも変わらない、永遠の絆を信じることは、愚かでしょうか。

 最後まで読んで下さってありがとうございました。

2007.04.26

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